歪んだ月が愛しくて2
「あれま、王様はやる気ない感じ?」
「自分から頼稀に突っ掛かってたくせに?」
「尊がやる気を出すのは立夏くんが絡む時だけですよ」
「「あ、そっか」」
「おい、適当なこと言ってんじゃねぇぞ」
「そうですか?強ち間違ってないと思いますけど」
「……ん?てことはお前、もしかして九條院の正体に興味ねぇの?」
「な…「あるわけないじゃないですか。立夏くんのことが心配だから九條院くんと風魔くんを警戒しているだけですよ」
「「ああ、成程」」
「成程じゃねぇよ。納得すんなボケ」
俺は煙草を灰皿に押し付けてバイク雑誌を広げた。
……内容が全然頭に入って来ない。クソが。
「でもリカが心配なのは本当なんでしょう?」
心配?
「折角捕まえたのにまた逃げられたら元も子もねぇもんな」
「とは言え立夏くんには悟られないようにしないといけませんね」
「そうだね」
「………いや」
この場合「心配」の表現が正しいのかは分からない。
「立夏には俺から話す」
「え、話しちゃうの?」
「マジかよ」
「……良いんですか?」
「隠す必要はねぇだろう。アイツは俺等の仲間だ」
ただ難儀なことに立夏は自分のことなんてお構いなしに無茶する奴で意外と好戦的で負けず嫌いなところがある。
その上、九條院や風魔と関われば余計危ないことに巻き込まれかねない。そう言う意味では心配しているが。
「うんっ、そうだね!リカは俺達の仲間だもんね!うんうん!」
「まあ、誰かさんは認めちゃったからな〜」
「ですが、もし立夏くんが九條院くんや風魔くんと何らかの形で繋がってたら…」
「繋がってたら、切り捨てられんのか?」
「………」
途端、九澄の表情から笑顔が消えた。
「出来もしねぇくせに悪ぶんな」
立夏が誰であろうと、何であろうと関係ない。
どんなに足掻いても、どんな言い訳を並べようとも今更切り捨てられるわけがない。
「そう易々と手放せるような半端な気持ちじゃねぇんだよ」
俺も、お前等も―――。