歪んだ月が愛しくて2
「こっまどりぃ〜♡」
案の定現れたのはアゲハだった。
アゲハは両手を広げて正面から俺にガバッと抱き付いて来た。
まるでスタンバイしていたかのようなタイミングの良さに呆れて物が言えない。
「邪魔、退け、鬱陶しい」
「相変わらずクールだね。そんなところも堪らな…「だから退けって」
右手でアゲハの身体を押して左の肘で腕を抉じ開ける。
それでもアゲハは俺の首に両腕を回してニヤニヤとだらしない顔をする。
お陰で俺の不快指数は上昇する一方だった。
「アゲハさん、立夏が嫌がってます」
「おや、そうかい?」
「見て分かんねぇのかよ。いい加減離せって」
「すまなかったね。君を前にするつい正気が保てなくなってしまい…。機嫌を損ねてしまったかい?」
「お前が離せば治る」
「では、まずはお茶にしよう。駒鳥のためにとっておきの豆を用意したんだ。汐、遊馬」
「「はい」」
その声と聞き慣れた名前にバッと顔を向けた。
そこにいたのはクラスメイトの汐と遊馬だった。
「え、何で2人がここに…」
汐と遊馬はアゲハの指示に従いテキパキとお茶の用意を始める。
その間、俺は頼稀に促されるままソファーに腰を下ろした。
「藤岡くんはコーヒーだよな」
「確かブラックで良かったよね?」
「いやいや待って!答えになってないんだけど!」
「見ての通りだ」
「全然見た通りじゃねぇから!見ただけじゃ分かんねぇよ!」
「ふふっ、駒鳥はお転婆だね。そんなところも愛し…「しつこい!!」
「ぐはっ!」
「そっ、総長ぉおおおお!!」
「流石藤岡くんだね、うちの総長を一発で沈めるとは」
「感心してないでおたくの変態総長どうにか…」
……ん?
うちの総長?
チラッと、俺は横目で汐と遊馬を盗み見る。
汐は腹を押さえて蹲るアゲハに慌てて駆け寄っていた。
一方遊馬は含みのある笑みを浮かべるだけで何も言わなかったが、その顔を見て分かった。
「………まさか」
「つまり、コイツ等も“B2”のメンバーってわけだ」
やっぱりかー!