歪んだ月が愛しくて2



西川くんの元に駆け寄ろうとした時、突然カナが現れた。



「ふ、藤岡くん…?」



カナは西川くんを庇うように自分の後ろに隠して男子生徒達と対峙する。



「あ?誰だよテメー?」

「関係ねぇ奴はすっ込んでろよ!」

「俺達はコイツに話があるんだよ!」

「話、ね…」



ギロッと、カナは鋭い眼差しで男子生徒達を見据える。



「確かに俺は野球部じゃねぇから部内のことは知らねぇけど、どう見てもこれはただの話し合いじゃねぇだろう」



グッと、3人の男子生徒はカナの指摘に言葉を詰まらせた。
どうやらカナもこの状況を理解しているらしい。



「……お前も、何やってんだよ」



チラッと、カナは振り返って西川くんに言った。



「帰りが遅いから心配して様子見に来てやったらこの様かよ」

「ふ、藤岡くん、どうして…」

「どうして?お前が俺のルームメイトだからだろう」



ルームメイト?

カナと西川くんは同じ部屋だったのか。

知らなかった。



「ルームメイト?」

「じゃあお前があのオタクヤンキーの弟か?」



誰がオタクヤンキーだ!

未だにそのあだ名健在かよ!



「オタクヤンキー?」



しまった。

カナは新歓の時いなかったからあの変なあだ名の由来を知らないんだ。



……マズい。後で追及されたらどうしよう。



「あははっ、良かったな西川!お前にも心配してくれる友達がいてよ!」

「友達なんていないと思ってたぜ!お前嫌われ者だからな!」

「、」



男子生徒達の言葉に心当たりがあるのか、西川くんはギュッと下唇を噛み締める。
その瞳からはうっすらと涙が伝っていた。


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