歪んだ月が愛しくて2
「てか未空と汐以外リアクション薄くない?」
俺の発言に未空と汐以外が首を傾げる。
未空と汐にあっては他人そっちのけで喜んでいて俺の話なんて聞いちゃいなかった。
「何のこと?」
「だってみっちゃん2位だよ。葵も3位で頼稀と遊馬もトップ10に入ってんじゃん」
「それが?別に大したことじゃないよ」
「いつものことだしな」
「いつも!?」
「邦光くんは初等部の頃から学年次席だもんね」
「フン、どうせ僕は万年2位だよ」
「それが凄いんだよ!」
「そう言う葵も3位じゃん。君も十分凄いんだよ、他人事みたいな顔してるけどさ」
「だからこの2人が学級委員なんだろう」
「あ、そっか」
つまり皆にとってはこの結果が当たり前で通常ってことか。
そりゃリアクションが薄いわけだ。慣れって怖い。
「おい」
不意に後ろから声がした。
「………あ」
「邪魔だ」
その声に振り返るとそこにはアイドル級の絶大な人気を誇る我等が生徒会長様が立っていた。しかも相変わらずの口の悪さで。
普通おいって言われても振り返らねぇからな。俺の優しさだからな。そこ勘違いすんなよ。
「……絶対邪魔じゃないでしょう」
「盾はな」
「遠巻きにチビって言いたいわけ?」
「はっきりと言ってやろうか?」
「結構です」
『言っただろう。今更どんな言い訳を並べようと手放す気は更々ねぇって』
『お前が何者でも俺には関係ない。俺にとってのお前はただの“藤岡立夏”だからな』
この前はあんなに優しかったのに…。
何だか騙された気分だ。
「………」
「何だよ?」
「……詐欺だ」
「は?」
優しかったり、意地悪だったり、どれが本当の会長か分からなくて対応に困る。
何を信じて何を信じちゃいけないのか、俺には分からなかった。
「尊、もうそのくらいにしたらどうです。立夏くんが困っているじゃないですか」
「そうそう。しつこい男は嫌われるぜ、オッケー?」
「全くです。挨拶くらい普通にすればいいものを」
「……あれって挨拶なんですか?」
「本人はそのつもりだと思いますよ」
「みーこって何だか子供みたいだよな」
「お前にだけは言われたくねぇよ」
覇王の登場に周囲が騒めき立つのが分かる。
それにも関わらず会長は朝から身長ネタで喧嘩を売って来ては俺の反応を見て楽しんでいた。
「こんなところに覇王様が!」
「しかも皆様お揃いだよ!」
「朝からお会い出来るなんて幸せ!」
「素敵!いつ見てもお美しい!」
「ああ、こっち見てくれないかな!」
こんなにも性格が悪いのにキャーキャー騒がれる意味が分からない。
「み、尊様がこんなお近くに…っ!恥ずかしい!」
ここにもいたか。おえ。
「出た!邦光くんの貴重なデレ!」
「まあ、大好きな生徒会長を目の前にしちゃな」
「大目に見てやれよ」
「アレのどこがいいのか分からないんだけど…」
「あ゛!?」
「な、何でもありませんっ!!」