歪んだ月が愛しくて2



芳行Side





立夏から取り上げたスマートフォンを耳に当てる。
聞こえて来たのは「リツリツ」と喚く昔馴染みの焦った声。
俺は立夏が教室に入ったのを確認して電話口の相手に文句を言う。



「いくら理事長様でもこの時間に電話して来るのは感心しねぇな」

『……アイツをどこにやった?』

「おいおい、おっかねぇ声出してんじゃねぇよ。立夏なら教室に戻しただけだ。一応HR中だからな」

『邪魔すんじゃねぇよ』

「そりゃ悪かったな。愛しの甥っ子との逢瀬を邪魔して」

『分かってるなら邪魔すんな。これはうちの問題だ』

「お前が首突っ込みたいだけだろう」

『何だと?』

「相変わらずの過保護ぶりに頭が下がるぜ。……でもいい加減立夏離れしたらどうだ?」



(まあ、無理だろうがな…)



立夏は見た目も文句なしだが中身を知れば知るほど可愛いところがある奴だった。
その上あの性格でよく無茶しているみてぇだから文月が過保護になるのは仕方ないことだと思う。
文月だけじゃない。立夏が転入して来てから立夏の噂はあちこちで耳にする。良い噂も、悪い噂も。
あろうことかあの覇王まで懐柔するとは流石文月が惚れただけのことはある。まあ、文月の場合はただのロリコンとも言えるが。



『お前には関係ねぇだろう。早くリツを出せ』

「だから教室に戻したって言ったろうが」

『だったらお前も仕事しろ。減給すんぞ』

「ふーくんは容赦ねぇな。立夏にはクソ甘なくせに」

『……それで呼ぶな。穢れる』

「穢れてんのはお前の脳内だよ」



何が穢れるだ。もうとっくに穢れてるくせによ。
どうせお前の頭ん中はドロドロなんだろうな立夏のことで。
一度でいいから文月の頭ん中を覗いてみたいもんだ。………いや、やっぱいいや。どうせ碌なことしか考えてないはずだ。何せ文月は生粋のロリコンだからな。



『……お前、一体何がしたいんだ?態とリツを遠ざけて俺様に何の用だ?』



頭の回転は落ちてないみたいだな。

話が早くて助かる。


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