歪んだ月が愛しくて2
尊Side
「族狩り?」
放課後、立夏以外のメンバーは生徒会室に集まっていた。
「あ、それうちのクラスでも噂してたよ」
「噂?そういや今日はクラスに顔出してねぇな」
「出せよ、サボり魔」
「結果出してりゃ問題ねぇんだよ」
んんっと、九澄の咳払いの音がやけに響く。
「話を戻しても?」
「「すいませんでした!!」」
九澄の威圧的な黒いオーラに未空と陽嗣が大人しくなる。
「で、その族潰しですが、東都を中心に暴れているようで今週に入って被害が続出しています」
「被害ってどのくらいよ?」
「詳しい数までは把握してませんが、いくつかのチームが壊滅したとか」
「把握してない?」
「お前にしては曖昧な情報だな」
「正確に言えば把握出来ないんです。被害に遭ったチームは何れも最近結成したばかりのチームで情報が少ないんです」
「成程ね。雑魚から狙われてるわけか」
「標的の順番は分かりませんが、狙われているのは間違いなく街のゴロツキ共です」
「つまり一般人には被害が出てないってことか」
「今のところは確認されていません」
「それで族狩りってわけね。いつの時代もいるんだよな、そう言う輩って」
「「「………」」」
「………え、何その目?」
「まさかとは思いますが…」
「テメーの仕業じゃねぇだろうな?」
「は?」
「……怪しい」
「んなわけねぇろうが!そんなもんとっくに卒業してるわ!」
「どうだか」
「貴方はそう思っていても、あちらはそう思ってないかもしれませんしね」
「良かったじゃんヨージ、モテモテで」
「あんな連中にモテても嬉しかねぇよ!」
それは謙遜でも皮肉でもなく心からの言葉だろう。
自分の話をしたがらない陽嗣だが、ある程度のことは知っているつもりだ。
「で、族狩りの正体は分かってるのか?」
その噂自体、初めて耳にするものだった。
授業サボって寝てた俺も陽嗣のこと言えねぇな。
「犯人と断定出来るか分かりませんが、警察の事情聴取に答えた被害者の証言によると犯人は自分のことを“白夜叉”と名乗っていたそうです」
「、」
その名前に陽嗣は過敏に反応した。
それでは心当たりがあると言っているようなものだった。