歪んだ月が愛しくて2
「僕が調べたところによると、白夜叉は巷で有名な族潰しだと言うことが分かりました。しかもゴロツキ共の間では知らない者はいないくらい伝説的存在で、あの“B2”を一夜で壊滅させたと言われています」
「えっ、“B2”って頼稀のところの?」
「東日本のNo.3か…」
「はい。今は体制を立て直して新たな“B2”として活動しているようですが」
「……それ、どこ情報よ?」
「主に東都の2チャンネルです。ああ言うところの情報は結構バカにならないんですよ」
「あっそ」
「伝説の族潰しか…。何かそれかっけーな!」
「格好良いかは分かりませんが、常人離れした強さで向かうところ敵なしだったみたいですよ。だから東都では白夜叉を慕う者が多いようです」
「スゲー!最強の族潰しじゃん!あ、でも白夜叉はアオの敵だから、うーん……複雑」
未空はまだ見ぬ白夜叉像を想像して目を輝かせる。
怖いもの知らずの未空らしい発言だ。いつもならそんな未空の無邪気で無知な発言に茶々を入れる者はいても咎める者は誰もいないのだが、何故か今回に限っては珍しく陽嗣が未空の発言に食って掛かった。
「ハッ、スゲーもんかよ。何が伝説の族潰しだ、くだらねぇ。白夜叉なんて大層な名前付けられてるが、実際はただの弱い者イジメが好きな卑怯者じゃねぇか」
「お前が言えるタマかよ」
「そうそう、自分のことを棚に上げてさ」
「だから元を付けろって!もう引退したんだからよ!」
「では聞きますが、貴方は白夜叉について何を知っているんですか?」
「は?何だよ藪から棒に」
「今更誤魔化したって無駄ですよ。白夜叉の名前を出した時の貴方の反応を見たら誰でも気付きますよ」
「そ、れは…」
言いたくない事情があるのか、陽嗣は言葉を濁して言い渋る。
だが。
「白状しろ」
そんなことは関係ない。
すると陽嗣は俺の問いに渋々答えた。
「……別に知り合いってわけじゃねぇよ。俺も遠目からしか見たことねぇし。ただ昔一緒のチームにいた奴がそいつに相当入れ込んでたから嫌でも覚えてただけ」
「じゃあ白夜叉の正体も知ってんの?」
「いんや、知らねぇ」
「知らない?貴方の友人は白夜叉に執着していたのでは?」
「ああ。でも結局そいつは白夜叉に喧嘩売って逆に病院送りにされてちゃんちゃん。だから奴の素性は誰も………あ、いるな」
「え、いんの?」
どっちだよ。