歪んだ月が愛しくて2
「そもそも、何で九ちゃんはこの事件に興味持ってんの?何か引っ掛かることでもあった?」
「実はその被害者の中にうちの生徒と親しい者がいたようでして…」
「あ、それって…」
「ええ、武藤葵くんのご友人だとか」
「九ちゃんも知ってたんだ」
「寧ろ未空も知ってたんですね。もしかして立夏くんも?」
「うん。昨日アオが外泊から帰って来た時に取り乱してて事情を聞いたら…」
「そうでしたか」
「だからこの件に首突っ込んでるわけか」
「好きで首突っ込んでるわけじゃありません。もし万が一、うちの生徒に被害が出たら責任問題を追及されて我々が非難されるんです。例え向こうに非があってもね。だからこちらも万が一の時に備えて色々と準備して置きたいんですよ」
「さっすが九澄様。念には念をってことね」
「ええ。それに僕は副会長と言う立場の他に学園の創設者の孫と言うおまけも付いて来ますから」
「まあ、批難されんのは外からとは限らねぇからな」
「分かってるなら白夜叉についてもう少し詳しく教えて頂きたいものですが」
「だからもう隠してねぇっての。それに今回の騒ぎが本物だとは限らねぇだろう」
その言葉に違和感を覚えたのは、俺だけではなかった。
「え、何それ?本物じゃないってことは…」
「その可能性もあるってことだ。言っただろう、白夜叉はゴロツキ共にとってカリスマ的存在だって。伝説に肖りたい連中は腐るほどいんだよ」
「可能性の話をしてたらキリがねぇだろう。お前なりの根拠はねぇのか?」
「根拠?んー……根拠って言うかほぼ勘みたいなもんだけど、今回の騒ぎで白夜叉は自分から名乗ったんだろう?俺が知る限り奴は自分から名乗ることは絶対にしなかった。俺的には白夜叉の通り名がお気に召さねぇのかと思っていたんだが…」
それが陽嗣の根拠か。
筋は通っているが確証がない。
「どうやらプロに協力を依頼するしか方法はないようですね」
「プロ?」
「九澄、まさかお前…」
「皇の力を持ってしても情報が出て来ないとなれば、残る手は情報屋に依頼するしか他ないでしょう」
「え、そこまですんの?」
「当然ですよ。本物か偽者か分からないなら尚のことです」
「抜かりないね。流石九ちゃん」
負けず嫌いなだけとも言えるがな。