歪んだ月が愛しくて2
みっちゃんと汐の背中を擦る葵を横目に、周囲のざわめきが大きくなる。
その理由は一つ、会長が俺を抱き締めたまま離してくれないからだ。
「キャー!尊様と藤岡様よ!」
……ん?
藤岡、様?
「あの2人って本当に仲が良いよね!」
「ああ、僕も藤岡様のように尊様に抱き締められたい!」
「羨ましい!」
いやいや、これのどこが?
寧ろ遊ばれてるんだけど。
良かったら代わりましょうか?
「チッ」
「え、何で舌打ち?」
舌打ちしたいのは俺の方なんだけど。
「リカリカ、みーこが舌打ちしたのはリカに対してじゃないよ」
「え、そうなの?」
「尊がイライラしている原因はあれですよ」
「あれ?」
九澄先輩の視線の先には熱い視線をこちらに向ける親衛隊の姿があった。
「今まで散々りっちゃんのこと悪く言って来たくせに、今じゃ手の平返したようにこれだもんな」
「凄い変わりよう…」
「公認にした途端、分かり易いよね」
「クソッ、親衛隊の連中め…」
「“オタクヤンキー”のインパクトが強いのも理由の一つじゃない?」
「どちらにしろ陰湿な連中には変わりないよ」
皆は口々に覇王親衛隊を批難する。
でも俺からしたらそんなことはどうでも良かった。
これ以上、面倒事に巻き込まないでくれたらそれでいい。
だた桂木先輩は俺を見定めると言っていた。
もし俺が生徒会に不必要な存在だと判断されたら、俺は生徒会にいられなくなってしまうのだろうか。
「……くだらない」
何考えてんだか。
どちらにせよ正体がバレたらもうここにいられないと言うのに、何て身勝手で都合がいいんだろう。
「てか、テスト結果はいいんですか?」
「そうそう!早く見に行こうよ!」
「行こうよって、何で猿が見る気満々なんだよ?」
「だって気になるじゃん!」
「とっとと行くぞ」
「は?何で俺まで…」
「いいから来い」
そう言って俺は会長に引き摺られるがまま3年のテスト結果を見に行くことになった。
そこには信じ難い結果が貼り出されていた。
3学年
1位 S 皇九澄 500/500
2位 S 神代尊 498/500
3位 C 九條院暁羽 494/500
4位 S 桂木蛍 490/500
5位 S 我妻吾郎 488/500
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29位 S 御幸陽嗣 440/500
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