歪んだ月が愛しくて2
「正体がバレたから」
「、」
結城さんの言葉に肩が跳ねる。
「だから奴等は君を匿っている“B2”を狙ってこの場所を選らんだ。そう考えてる?」
「………」
そうとしか考えられない。
そうでなければ態々“B2”のシマを狙う理由はないはずだ。
「でも残念。その推理には無理があるよ」
そう言って結城さんは口元を緩めた。
「まず君と“B2”の関係を裏付ける証拠は何もない。もし君を匿っている理由で“B2”が狙われるとしたら君=白夜叉の構図が出来上がってないと説明が付かない」
「なら、やっぱり俺の素性が奴等に…」
「いや、もしバレていたらこんなまどろっこしい真似はせず直接君に接触を図るはずだ。相手があのキョウなら尚更ね。それにリスクも大きい。いくら“鬼”が東日本最強と呼ばれているからと言ってもNo.3の“B2”にそう易々と喧嘩売るのは利口な考えじゃないからね」
「でも、」
「考えられる可能性としてはアゲハが白夜叉の大ファンだからかな」
「……は?」
「これは可能性の一つだから確証はないけど、アゲハが白夜叉に執着している情報をどこかで掴んだのかもしれない。てかぶっちゃけその情報は結構有名でね。だから“鬼”は“B2”が白夜叉を匿ってる、若しくは白夜叉について何らかの情報を掴んでると踏んで“B2”のシマを手当たり次第荒らしているって可能性もあるわけよ。アゲハと直接交渉でもする気なのかな〜?」
「洸さんの言う通りだ。奴等はお前の正体に気付いていない。少なくとも今回の首謀者だと思われるキョウはな」
「キョウ…」
『シーロちゃん♡』
……アイツか。
忌々しい声が脳を揺らす。
「顔怖いよ」
結城さんに指摘されてハッと我に返る。
「まあ、君にとっては一番聞きたくない名前だよね」
「……やっぱり知ってたんですね」
「情報屋だからね」
プライベートもクソもあったもんじゃねぇな。