歪んだ月が愛しくて2
「奴等は仲間でさえ信じない。自分の欲を満たすためなら利用出来る人間はとことん利用する。高屋のようにな」
「……つまりシキがキョウに協力してるとしたら、何かしらの魂胆があるってことか」
「そう言うこと」
「でも、もしそうだとしたらシキは一体何を…」
「さあな。今はシキが何を企んでるのかは分からないが、俺のやることは変わらない」
「やること?」
「お前を奴等から守ること。それだけだ」
頼稀の手がそっと俺の髪を梳く。
甘ったるい仕草がくすぐったくて目を細めると、頼稀はどこか悲しげな瞳で俺を見つめていた。
その視線に何も言い返せなくて、俺達は至近距離にも関わらず互いの瞳から目が逸らせないでいた。
「お熱いねぇ。やっぱり骨抜きにされてんじゃん」
「されてません」
「言ってることとやってることが違うんだよ」
結城さんはカウンターの中から俺達を交互に見て、ニヤニヤと口角を上げていた。
珍しく遊ばれてるな…。
どうやら頼稀は結城さんに頭が上がらないようだ。
カラン、カランと。
訪問者を知らせる古びた音が店内に響き渡る。
「―――あら、何か間違ってなくて?」
店の扉が開かれたと同時に声が聞こえた。
まだ幼さの残る可憐な声がどんどん近付いて来る。
「“俺のやること”じゃなくて、“俺達の…”でしょう?」
突然現れた女性…いや、まだ中学生くらいの少女は何故か汐と遊馬、そして見知らぬ男を引き連れて突如俺の前に現れた。
何でここに汐と遊馬がいるのか不思議で仕方なかったが、その訳を聞こうと2人に声を掛ける前に少女は俺の目の前にやって来て…。
「私達が命に代えてもお守り致しますわ、白夜叉様」
そう言って可憐に微笑んだ。
「………へ?」
誰?