歪んだ月が愛しくて2



「そうかそうか、お前等がそこまで先生想いだったとはな。先生は嬉しいぞ」



うんうんと、首を縦に振って何故か見当違いなことを言う紀田先生。

態とらしい演技が見るに堪えない。



「……あの人、何か勘違いしてない?」

「紀田ちゃんのためじゃないのにね」

「ま、どっちでもいいじゃん。兎に角優勝すればいいんだろう?」

「そう言うこと」

「優勝したら皆でパーティーしようね!」

「偶にはいいんじゃないか」

「お、珍しく頼ちゃんが乗り気だこと。どしたの?」

「フン、君達気が早いんじゃないの?そう言うのは優勝してから言いなよ」

「御手洗の言う通りだ。お前等いつまでも浮かれてんじゃねぇぞ」

「「「(お前だけには言われたくねぇよ!!!)」」」



ほぼクラス一丸のツッコミも虚しく紀田先生は平然と話を続ける。



「あ、それと今日は転入生が来るぞ」



しかも話の内容が結構ディープだった。



「「「は……、はぁぁああああ!?」」」



その事実にクラスの全員が遅れてリアクションを取る。



「て、転入生っ!?」

「何それ!聞いてないんだけど!」

「ちょっと紀田ちゃん!そう言うのは前もって教えてよ!」

「仕方ねぇだろう。俺だって今朝聞かされたんだからよ」

「転入生なんて立夏くん以来だね」

「でも高等部からの入学は認められてないんじゃねぇの?」

「藤岡くんと一緒で特例ってことだね」

「2人目なら特例もクソもないよ」



確かに。



「………」



不意に頼稀が険しい顔を見せる。
顎の下に手を置いて何やら考え事をしている様子だった。



「紀田先生、転入生ってどんな奴なの?」

「可愛い系?美人系?」

「イケメンは嫌だー!」

「敵が増える!」

「敵って?」

「うん、立夏くんは気にしなくて大丈夫だよ」

「眼鏡ちゃんは鈍感だからな」

「……眼鏡じゃねぇもん」

「ぐはっ!」

「も、もんっ!もんはヤバい!」

「スゲー破壊力だ…」

「もうダメ!可愛過ぎるぅ〜!」

「んー…お前等の気持ちは分かるがちょっと黙れ。説明出来ねぇから」

「そう説明!どう言うことかちゃんと説明してよ!」

「その転入生はいつ来んのさ!?」

「おいおい、誰もこのクラスに来るなんて言ってねぇぞ」

「え、うちじゃないの?」

「なーんだ、楽しみにしてたのに…」

「期待させないでよ」

「勝手に期待してんじゃねぇよ」


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