歪んだ月が愛しくて2
ガタンッと、教室内から音がする。
その音に釣られて教室内を覗き込むと何故かリカの弟くんが椅子から立ち上がってこちらに向かって歩いて来ていた。
「え、何かこっち来てない?」
「……聞かれたかもな」
「ヤバいじゃんそれ!」
「………」
「何で無視すんだよー!」
ピタッと、足音が止まった。
「……おい」
その声にビクッと肩が揺れた。
恐る恐る振り返るとそこにいたのはやっぱり彼だった。
「アンタ達、今立夏って言わなかった?」
転入生の名前は藤岡叶威。
彼こそが理事長の甥でリカの弟だ。
「無視?聞いてんだけど」
弟くんは少し苛立っているように見えた。
頼稀の言う通りやっぱりリカのことを捜しているみたいだ。
「い、言ったけど…、それが?」
「アイツはどこだ」
キター!
「教えてくれ」
「そ、それは…」
何て言っていいのか分からない。
弟くんはリカに会いたがってるようだけど、リカは多分違ってどこか避けてるようにも見えた。
そんなリカのことを簡単に教えられるわけがなかった。
「自分で捜せよ」
すると頼稀が横から助け舟を出してくれた。でも何故か喧嘩腰で。
「……分かんねぇから聞いてんだよ」
「そうやって安易に他人に頼るな。アイツに会いたかったら自力で見つけてみろ」
「何だと?」
「事実だろう?」
「………」
バチバチと睨み合う、頼稀と弟くん。
俺も何も知らないのんちゃん達もそんな2人を見兼ねて仲裁に入る。
「ちょ、ちょっと頼稀!何もそこまで言わなくても!」
「そうだよ!初対面の人に向かって何言ってんの!?」
「しかも何で喧嘩腰?」
「僕が知るわけないだろう」