歪んだ月が愛しくて2



「もしかしてみーこもリカと連絡取りたいの?だったら今日は諦めた方が…」

「風魔」



ビクッと、突然名前を呼ばれて思わず肩が跳ねた。

しまった、油断していた。



「何ですか?」



動揺を悟られないように平然と答えた。



「話がある」

「……………は?」



話がある?


俺に?



「「何で?」」



何故か未空とハモッた。



「みーこはリカに用があったんじゃないの?」

「その前に風魔だ」

「だから何で頼稀なのさ?頼稀じゃないとダメなの?」

「ああ」

「………」



切れ長の双眸が真っ直ぐに俺を射抜く。
これはどう足掻いても逃げられそうにないな。



「頼稀…」



不意に隣に座っている希が俺の制服を引っ張る。
その表情には不安と困惑の色が見えた。
どうやら俺の煮え切らない態度のせいで余計な心配をさせてしまったらしい。

希はあの新歓の事件以来、少し臆病になった。
以前は俺がバカやってても「無茶すんなよバーカ」と笑って一蹴していたのに、自分のせいで俺や立夏を危険な目に合わせたと思い込んでいる希は俺のやることなすことに過敏に反応するようになってしまった。



(本当、余計なことをしてくれたものだ…)



新歓のことは希のせいじゃない。
それなのに希は自分のせいだと頑なに言い張り、いくら俺がそれを否定しても一切聞く耳を持たなかった。元々頑固な性格が更に拍車を掛けて酷くなった。
一体、何度言い聞かせれば伝わるんだろうか。



「大丈夫だ」



そう言って希の手に自分の手を重ねて安心させた。



でも、伝え続けるしかない。

希に俺の気持ちが伝わる、その時まで。


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