歪んだ月が愛しくて2



「で、結局りっちゃんは何で生徒会室に来てくれなかったわけ?」



アゲハへの不満に一旦区切りが付いた後、陽嗣先輩はフォークを口に銜えたままテーブルに肘を付いて俺に尋ねた。



「それは、体育祭の準備で忙しくて…」

「本当のところは?」

「ほ、本当って?」

「んー…何かこの数日余所余所しかったって言うか、避けられてる感じがしてたんだよね」



鋭いな。

いや、目敏いのか。



避けていたわけではないが、嫌なことを先伸ばしにした感は否めない。
それを避けていたと言われてしまえばそれまでだし、そもそも心の底から否定出来ない時点で会長を避けていたと認めているようなものだった。



「リカ、俺達のこと避けてたの?何で?」

「お前、りっちゃんが嫌がること何かしたんじゃねぇの?」

「えっ、嘘!俺リカが嫌がること何かしちゃった!?してたらごめんね!何でもするから許して!お願い!」

「してないから落ち着いて。陽嗣先輩も未空を揶揄うのはやめて下さいよ、面倒臭いから」

「面倒臭いってどう言うこと!?」

「あははっ、バレちゃった?」

「バレバレですよ」



態とらしい。



「立夏くん、こんな無駄絡みの多いうざい陽嗣ですが、今日のところは多めに見てやってもらえませんか?どうやら立夏くんと会えなくて落ち着かなかったのは王様だけではないようなので」

「はぁ…」



九澄先輩の言ってることが半分も理解出来なくて気の抜けた返事をする。



「無駄絡みが多くて悪かったな」

「うんっ!俺もリカに会えなくてスゲー寂しかったよ!」

「いやいや、未空とは毎日クラスで会ってたよね?」

「クラスで会うのと生徒会室で会うのとでは全然違うんですぅ〜!」

「まあ、そう言うことですよ」



何が?

どゆこと?



よく分からないまま話が進み、一方では話に加わることなく黙々と食事を続けていた。
この際、会長のことは後で考えるとして、今は目の前に出された食事を平らげて早いところこの場から立ち去ろう。
そうじゃなきゃ俺がこの空気に耐えられない。
そう思ってサンドイッチを口に入れた時だった。










「―――リツ?」


< 331 / 651 >

この作品をシェア

pagetop