歪んだ月が愛しくて2
「っ、何言って…」
「気付いてる?カナはどうすればいいか分からないって言ってたけど、さっきから西川くんを守ること前提で話してるんだよ」
「は、」
「それってさ、カナの中ではもう答えが出てるってことでしょう」
「………」
「俺に言えることは、カナには後悔しないようにやって欲しいってこと。西川くんの気持ちを優先したいなら西川くんとちゃんと話をしよう。それが出来るのはきっとカナしかいない」
真っ青な顔して泣き出すってことは、それだけ他人に触れられたくない何かがあるってことだ。
少し強引で短気なところがあるカナだが、流石にそれを無理矢理聞き出すことはしないと思うし、これまでもそんな西川くんと向き合って来たのはカナだからある程度扱い方も分かっているはず。
西川くんの友達でもない俺が言うと説得力に欠けるが、西川くんを救えるのはカナしかいないと思う。
暴力で解決するのは簡単だ。でもそれでは何の解決にもならない。
「……うざくねぇかな、俺」
「うざい?」
何が?
「いや、その…友達とかさ、今までいなかったわけじゃねぇけど、ああ言うウジウジした奴を相手にしたことなかったからどう接していいか分かんなくて…。俺、世話焼き過ぎ?過保護?」
「んー…でもルームメイトなんでしょう。クラスも一緒で、いつも一緒に行動してるんじゃないの?」
「してるけど…」
「だったら今更そんなこと気にしなくてもいいんじゃない。カナが転入して来てもう2週間くらい経つけど、これまで西川くんにうざいって言われたことないんでしょう。もし本当にカナのことうざいって思ってたら2週間も堪えられないって」
「(お前はな)……でも言えない、とか」
「そんな高圧的な態度取ってるの?」
「そんなつもりはない、けど…」
「思い当たる節があるとか?」
「………偶に、ビビられる」
「あー…」
想像付くな。
カナって性格は悪くないのに、偶に言い方がキツいんだよね。
真正面から褒められるのとか苦手そうだし、誤解されても仕方ない要素満載かも。可哀想に。
「どう思う?」
俺よりも身長が高いくせに、カナは背中を丸くして俺の顔を不安げに覗き込む。
猫目のくせにチワワみたいにウルウルさせやがって、クソ可愛いな。
「そんなに気になるなら西川くんに直接聞いてみれば?」
カナの頭を撫でながら提案すると。
「無理」
即答かよ。
「何で?友達なんでしょう?」
「……正直、それもイマイチで」
「コミュ障か」
「お前だけには言われたくねぇよ」
「それ失礼だからね。てか、さっき西川くんのことウジウジしてるとか言ってたけど、カナの方が十分ウジウジしててうざいよ」
グサッ。
「そもそも俺に聞いたところで分かるわけねぇじゃん。本人に聞く勇気がないからって俺に聞くなよ」
グサ、グサッ。
「それと、カナって結構過保護だよ」
グサッ、グサグサッ。
「気付いてなかったの?ああ、それと…」
「ごめんなさい、言い過ぎました」
よし、勝った。