歪んだ月が愛しくて2
「彼は、僕の光なんだよ」
「光?」
疑問を声に出したのは御幸陽嗣だった。
他の3人も眉間に皺を寄せたり、首を傾げたりと様々な反応を見せた。
アゲハさんが言うと若干胡散臭く聞こえるが、その言葉に嘘偽りはない。
あの日、あの瞬間から、立夏の存在はアゲハさんにとってなくてはならない存在となった。
正に光そのもの。闇に生きる者を導く“先導者”と言っても過言ではない。
「回りくどい言い方はやめて下さい。時間の無駄です」
「要はファンだよ、駒鳥のね」
「ファン?何で?」
「生き方?……いや、彼自身の本質かな?」
「……それってアゲハは前からリカのこと知ってたってこと?」
「ああ」
「リカが転入して来る前から?」
「そうとも」
ただ誰かに理解してもらいたいとは思わない。
他人には理解し難い感情だからな。
特に覇王のような人間には。
「お前さ、りっちゃんに惚れてんの?」
「無論惚れているとも」
「えっ、いつの間に九ちゃんから乗り換えたの!?」
「いつでも乗り換えてもらって構いませんよ」
「誤解しないでくれたまえ。僕が愛しているのは九澄くんただ1人さ。駒鳥に惚れているとは言ったが、それは恋愛感情ではないからね」
「だからファンだって?何か都合が良い表現だな。結局有耶無耶にされた感半端ねぇんだけど」
「これ以上の例え様はないさ。他に質問はないかな?」
そう言ってアゲハさんは覇王4人の出方を窺っていた。
初っ端からぶっ込み過ぎて覇王はやる気を削がれたように口籠もる。
「アイツを、どうするつもりだ?」
でも、この男だけは違った。
「どうとは?」
「立夏を“B2”に入れるつもりかって聞いてんだよ」
「……その言い方だと、彼が“B2”の一員じゃないことは知っているようだね」
「本人に聞いたからな」
「えっ、聞いたの!?リカ本人に!?」
「マジかよ」
「いつの間に…」
「俺から本人に確認すると言ったはずだ」
驚いた。まさか立夏と神代会長の間でそんな話をしていたとは。
立夏の奴、何でそう言う大事なことを報告しねぇんだよ。