歪んだ月が愛しくて2
お題が入った箱に最初に手を伸ばしたのは俺だった。
箱からお題を引き抜いて二つ折りにされた紙を開くと、そこには―――。
………は?
はぁぁあああ?
『これはこれはC組の藤岡選手がお題を見て固まっております。どうやらとてつもない難題にぶつかってしまった模様です』
「………」
………夢?
うん、そうだ。
きっと夢に違いない。
だって、こんなお題…。
ギュッと、目を瞑りゆっくりと目を開ける。
手に持っていた紙をもう一度、もう一度だけ確認すると…。
Why!?
これは何の嫌がらせだ。
いや、罰ゲームか。
「誰かー!クレヨン持ってる奴いねぇかー!」
「こっちは木刀なんだよー!誰か協力してくれー!」
「エロ本持ってる奴も出て来てくれー!」
……俺、何かした?
自分でも気付かない内に体育祭に嫌われるようなこと何かしちゃった?
だから俺だけこんな嫌がらせみたいなお題なわけ?
「おーい!その辺に宇宙人いねぇかー!」
……うん、いないよねっ!?
いたらマジでビビるわ!!
でもこれでクソみたいな難問にぶち当たったのが俺だけじゃないのは分かった。
この際、俺のくじ運の無さはどうでもいい。
今やるべきことはこのお題をどう処理するかだ。
紙に落とした視線を上げて、ぐるっと周囲を見渡す。
でも、いない。
いるわけがない。
だって“気になる人”なんてあまりにもアバウト過ぎるでしょう。