歪んだ月が愛しくて2
「それに、その容姿なら覇王親衛隊だって黙らせることが出来たのに…。そうすれば月さんだって君のことを認めざるを得なかったと思うよ」
「アイツに認められても嬉しくねぇよ」
「それはっ、……確かに、あんなことされたら許せないだろうけど…」
今日はよく月の名前を耳にする。主に白樺の口からだが。
俺としては月の話を穿り返したいとは思わないし、寧ろどうでも良かった。
……いや、そんなこともないか。
月の俺に対する感情はクソほどどうでもいいが、アイツは頼稀を釣るために希を利用して、会長に怪我までさせた張本人。
全ての元凶が俺にあるとは言え、月のことを到底許すことは出来なかった。それにあのクソみたいな性格も無理だしな。
………ああ、何だ。
俺、アイツのことちゃんと嫌いじゃん。良かった。
「でもね、月さんも凄く反省してるんだよ」
でも、白樺は違う。
「今となってはもう遅いかもしれないけど、君に酷いことしたことも、尊様に怪我をさせてしまったことも凄く後悔されてて、君と尊様にきちんと謝りたいって言って泣いてたの…」
……………は?
「だから、どうにか月さんの力になれないかと思って」
泣いてた?
アイツが?
「それでね…「あのさ」
ビクッと、白樺の肩が跳ねる。
つい低い声が出てしまったが、今は白樺を気遣う余裕がなかった。
「会ったのか?アイツと」
嫌な、
「え、会ってないけど、電話で」
「アンタから掛けたのか?」
「う、ん…。手紙を貰って、この番号に掛けてくれって書いてあったから」
「いつ?」
「え、いつって…」
「手紙が届いたのはいつだ?郵送か?」
「ううん。放課後に空き教室に呼び出されて、知らない人から手紙を渡されて」
「知らない人?月本人じゃないのか?」
「だって月さんはもうここにいないじゃないか。見たこともない人が預かり物って言って届けてくれたんだよ。受け取ったのは3日くらい前だったかな」
嫌な予感がする。
「……それで、アイツは何て?」
不意にベッドに手を付いた。
指先に触れたのは、先程貰ったペットボトル。
「君に謝りたいから協力して欲しいって」
(ああ、これか―――)
「―――どこ?」
面白い。
まさか、そっちから仕掛けて来るとはな。
「え、どこって…」
だったら、お望み通り踊ってやるよ。
「だから、アイツは今どこにいるのかって聞いてんだよ」
テメーが用意した舞台の上でな。