歪んだ月が愛しくて2



「本番前にまずはテストだな」



喉の奥で嗤う獣共が漆黒の学ランに手を掛ける。
学ランの前を全開にされ、上半身に巻いていたサラシの中に触手みたいな汚い手が侵入して来た。



「っ、」

「おっ、感度良好〜」



脇腹を撫でられて全身が震える。
奥歯を噛み締めて意識だけは手放さないように堪えるが、どうにも頭と身体が熱くて言うことを聞いてくれなかった。
長袖の学ランのせいじゃない。
脳が溶けているのではないかと思うほど茫洋として、薬のせいで身体が熱くて堪らないのに快楽よりも気持ち悪さの方が勝っていた。
この嫌悪感は間違いなく目の前の獣共のせいで、触れられるのが嫌なのに、勝手に温度を上げる身体が忌まわしい。
まともに頭が回らないが、この状況を諦めることだけは死んでもしたくないので、必死で現状の危機を回避出来る術を探してあれこれ記憶を引っくり返す。



カサッと、不意に何かに触れた。
ズボンのポケットに何か入っている。



……紙?



脳裏に過ぎったのは、借り物競走で引いたあのお題だった。



(よりによって、こんな時に…)



罪悪感と、後ろめたさ。

そしてよく分かんない感情が入り交じって、すぐに頭の中の太陽を消した。



巻き込むわけにはいかない。

危険な目に合わせるわけにはいかない。



だから…、



「おい、こっち向けよ。エロい顔が写んねぇだろうが」

「っ、ぅ、あ…」

「ハッ、良い声出すじゃねぇか」



首筋を撫でられ、鎖骨から胸元へといくつもの掌が移動して行くのがまざまざと感じられる。
気色悪くて仕方ないのに、触られたところが疼くように熱を持って身体の中に溜まっていく。



「初物は丁寧に甚振ってやんねぇとな」

「クックク、この状況でか?」



自由な右手を壁に固定され、喉元をぬるりと舐められて息を飲む。
反対側からは別の手が俺の顎を固定し耳元に舌を這わせ、サラシを取られた無防備な胸を捏ねくり回す。



「や…っ、ンン…」



それだけでは飽き足らず、男の指が敏感な突起を甘噛みしながらねっとりと舌で転がし味わい始めた。



「ンンッ!」

「ははっ、もう下も反応してるじゃねぇか。そんなに気持ち良いかよ?」

「はぁ、堪んねぇなその顔。早くチンポ擦りたくて仕方ねぇんだろう」

「おい、そっちはまだ触んなよ。存分に焦らして焦らしまくって最高にエロい顔させてやんだからよ」

「やぁめ…、はなれ、ろ…っ」



男達の手が好き勝手に俺の上半身を弄る中、そんな男達の邪魔をしないようにと一歩下がったところで見ていた仲間の1人が俺の姿に当てられて忙しない様子で自身のズボンのファスナーを下ろした。
男は我慢出来ずに自身のものを握り込んで激しく上下に扱う。
濡れたような音と荒々しい息遣いが倉庫内に充満する。



「お前もうガン勃ちじゃん。中坊かよ」

「うっせぇな!このガキが妙にエロ過ぎんのが悪ぃんだよ!」



溶け掛けた脳と熱を持つ身体で、無数に伸びる手から必死に抵抗する。
でもどんなに身体を弄られても熱以上に込み上げて来たのは、明確な嫌悪感と吐き気だけだった。





ああ、熱い。



気持ち悪い。



吐き気がする。



息苦しい。





「い、やだ…っ」





グシャッと、スボンのポケットから落ちたそれを足で踏み付けると、無性に胸が痛んだ。


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