歪んだ月が愛しくて2
「どう言うことだよ?まるでりっちゃんが狙われることを最初から分かってたみてぇな口振りじゃねぇか」
「……まさか、分かってたんですか?立夏くんが狙われていると言うことを」
「その通りだよ」
「っ、分かってたなら何で!?」
「手は打っていたさ、君等が気付くよりもずっと前にね。出来ることなら事が起きる前に始末したかったが…」
「俺達よりも先に?おいおい、どんだけ優秀な情報屋囲ってんだよ」
「……風魔くん、君ですか?」
「いいえ。俺じゃありませんよ」
「君じゃなければ一体誰が…」
「目敏いことに、ここには俺よりも鼻の利く奴がいるんでね。まあ、鼻が利くだけならまだいいが、後先考えずに好き勝手やってくれるんでこっちとしてはいい加減大人しく守られてて欲しいところですけど」
「それって…、まさかリカのこと?リカは俺達よりも先に恐極の存在に気付いてたってこと?」
「いやいや、可笑しいだろう。百歩譲って恐極の存在に気付いていたとして、何でりっちゃんは俺達に何の相談もなく1人で無茶したんだよ?普通だったら…」
「でも俺達には普通に話してくれましたけどね」
「、」
「だから俺達は事前に鼠取りを仕掛けることが出来た。お陰で潜り込んだ鼠の数も把握することが出来たし、鼠の影に隠れていた協力者を自然な形で見張ることも出来たしな」
「……それは、俺達が信用されてないって言いたいの?」
「本人に聞いたことはないが、結果的にそう言うことだろう」
「っ、でも俺は…「あ、あのっ、僕のせいなんです!!」
途端、声を上げたのは白樺だった。
一斉に白樺へと視線が集中する中、白樺は青褪めた顔で唇を震わせながら何やら言葉を紡ごうとしていたが、次第に呼吸が浅くなり息遣いも荒くなっていた。
そんな白樺を見兼ねた九ちゃんが白樺の背中を摩りながら「大丈夫ですか」と声を掛ける。
「だい、じょ…僕は…だい、丈夫、ですから…っ」
リカがこの場にいない今、ここで何があったのかを説明出来るのは白樺だけ。
でも白樺がこんな状態ではまともに話が聞けないと判断した九ちゃんが「一旦、恐極達はそちらに預けましょう」と折れて、白樺を連れて倉庫を出て行った。
「汐、遊馬、コイツ等を例の場所へ」
「「了解」」
「それとあっちの方は?」
「あっちは沖田さんが目を光らせてます。いつでも確保出来る状態です」
「よし。総一郎さんには俺から連絡する。連れて行け」