歪んだ月が愛しくて2



頼稀の指示で取り押さえた恐極達を倉庫から運び出す、汐と遊馬。
そんな彼等の様子を横目に、ヨージは溜息を吐いて険しい表情のままアゲハと頼稀を見てこう言った。



「別に仲良しごっこするつもりはねぇけどよ、りっちゃんは生徒会の人間なんだ。“B2”じゃねぇ。何か分かったら必ず報告しろよな」

「………」

「あ?何だよ、急に黙り込みやがって」

「いや、君の口からそんな言葉が聞けるとは思わなくてね。君は彼のことを疎ましく思っているのではないのかい?」

「……目敏いのはオメー等も一緒だな」

「彼に関することならどんな些細なことでも見逃せないからね」

「ああ、そうかよ。そんな俺に言われるのは癪だろうが、それを始末するならちゃんと素性を割ってから処分しろよ」

「アンタに言われるまでもない」



ヨージは「ハッ、生意気」と言い残して倉庫を出た。
俺もヨージに続いて倉庫を出ようとした時、グシャッと何かを踏み付けた。



……紙?



最初はただのゴミかと思った。

丸まってたし、汚れてたし。



でもその紙に見覚えがあった。



恐る恐るその紙を手に取って広げると。





そこに書かれた内容に衝撃が走った。





『で、お題は?早く見せてよ』

『え、あー…あれ?紙が…』

『まさか無くしたの?』

『いや、確かここに入れたはずなんだけど』





……これ、リカのだ。





あの時、借り物で引いたお題に間違いない。





でも、何で?



リカは無くしたって言っていたのに、どうしてこれがここにあるんだろう。



いや、それ以前に。





『んんっ、えー…藤岡選手が引いたお題と言うのは………き、“金髪”の人だそうです』





内容が違う。



最初の一文字しか合ってない。





『……会長には言いたくない』



『………怒らない?』





……ああ、そうか。



だからリカはあんなに―――。




















「未空」





ビクッと、思わず肩が跳ねる。





「何やってんだよ、置いて行くぞ」

「………今、行く」


 


グシャッと。

丸めた紙をポケットに突っ込んでヨージの後を追い駆けた。










胸に巣食う、黒い感情に気付かないふりをして。


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