歪んだ月が愛しくて2
「てか、今までどこにいたの?何度も電話したんだけど」
「自分の部屋に決まってんだろうが」
「自分の部屋にいたのに気付かなかったわけ?どんだけ爆睡してたの?」
「オメーが電話に気付かねぇほど爆睡するなんて珍しいな」
「……疲れてたんだよ」
「へー、疲れるまでナニしてたんだろうねぇ」
「未空、お前な…」
「もういいです。どうせ貴方に何言ったって響かないんでしょうから。ほら、いつまでもそんなところに突っ立ってないでとっとと座って下さい、話を進めますよ」
その言葉で漸く解放されたかと思えば、自分の席に座ると四方から責めるような視線が注がれた。
「文句があるなら聞くぞ」
未空、陽嗣、九澄の小言は聞いた。
だからこれは九條院と風魔に宛てたものだった。
「文句?とんでもない。いくら呼び出されたのが1時間以上前だったとしても他ならぬハニーと駒鳥のためだからね。2人のためなら僕は喜んで待っているさ」
「それについては謝罪せざるを得ません。次回からはうちの王様を確保した後に声を掛けさせて頂きます」
「おや、それは次も期待していいと言うことかな?」
「そうならないことを切に願っております」
「オメー等な、いつまでもバカ言ってねぇでとっとと会議始めろよな。やっと尊が揃ったって言うのにオメー等がやり合ってたら話が先に進まねぇだろうが」
「……貴方に言われるのは癪ですが、まあいいでしょう(後で覚えとけよ…)。九條院くん、昨日の処理はどこまで進んでいますか?」
「頼稀」
「その前に立夏の容態は?」
「落ち着いてる」
「アイツは今どこに?」
「俺の部屋で休ませてる」
「………」
「何だ?」
「………いや、別に」
相変わらず目敏い野郎だ。
恐らく風魔は気付いている。立夏が媚薬を飲んだことも、それが立夏の意志だと言うことも、俺が立夏をそう言う目で見てることも。
その上、昨日のことが風魔に知られたらタダじゃ済まされないだろうな。
何せこの俺に対して“殺す”とまで言い切った男だ。
立夏にもしものことがあれば風魔は必ずそれを実行に移す。
相手が誰であろうと関係ない。
例えそれが“神代”であっても、立夏のためならば風魔は躊躇うことなくその手を血で染めるだろう。
そう思えてならないのは風魔が九條院の“影”だからでも、“B2”だからでもない。
立夏と風魔の間には俺等の知らない何かがあるように思えてならなかった。
「駒鳥が無事で何よりじゃないか、頼稀」
「ソーデスネ」
この男もか。