歪んだ月が愛しくて2



「本題に入りますが、昨日倉庫にいた連中は予想通り恐極組の構成員でした。連中を締め上げたところ、恐極月の指示で立夏を襲ったことを白状しました。村雨に関してはダンマリを決め込んでいますが、恐極月は色々と喋ってくれましたよ」

「色々って?」

「既に学園を追われた恐極月が再び学園内に侵入するのは難しい。いくら体育祭の真っ最中だとは言え内部に協力者がいない限り不可能だ」

「と言うことは、恐極を手引きした内通者が学園内にいると言うわけですか。当然相手は分かっているんですよね?」

「勿論さ。既にその者もこちらで確保しているよ」

「誰だ?」

「2年C組の学級委員長、三橋初」

「み、三橋!?それってあの空気読めない胸糞悪い奴じゃん!アイツが内通者だったわけ!?マジでふざけんなよあの野郎!」

「未空、落ち着け」

「でも…っ」

「奴には以前からきな臭い噂があったから俺達もずっと目を付けていたんだ。だからアゲハさんの親衛隊長をやらせて常に目の届くところに置き、尻尾を出すまで野放しにしていたところに今回の事件が起きた。元々ある筋から情報を得ていたからすぐに鼠と三橋の関係性に気付くことが出来たしな」

「ある筋とは?」

「話せないからある筋なんでしょう」

「その情報ってのが今回三橋が恐極に協力した動機ってことか?」

「ええ。さっきも言いましたけど、三橋はアゲハさんの親衛隊長なので言うまでもなくアゲハさんに好意を寄せてるんですよ。でもアゲハさんの興味は皇副会長と立夏にだけ向けられているので…」

「成程な。いくら鬱憤が溜まってても覇王である九澄に危害を加えるわけにもいかず、その矛先がりっちゃんだけに向けられたってわけか」

「それが三橋の動機だって言うの?そんなことでリカを…」

「覇王親衛隊と一緒だ。所詮、行き過ぎた好意は有害ってことだ。そこで相談なんですが、三橋を退学処分にしてもらえませんか?」

「お前に言われなくてもそのつもりだ。それに三橋本人だけに留めるつもりもない」

「三橋は…、確か飛鳥院の系列でしたね。そちらへは何と伝えるつもりですか?」

「俺の機嫌を損ねた、それだけ伝えれば十分だろう」

「それはそうですが…」

「そのことなら大丈夫ですよ。飛鳥院家の次男で現副社長の飛鳥院悠とここの理事長は幼馴染みで、理事長の数少ない友人です。経緯は省きますけど、先日立夏も顔合わせしてるんで、今回のことをありのまま話せば飛鳥院は快く承諾してくれると思いますよ」

「色々とツッコミどころ満載だな…」

「てか、その経緯が一番大事じゃね?」



(立夏と、飛鳥院が顔見知りだと?)



初耳だった。
それ以上に立夏と飛鳥院に接点があったことに驚いた。
こちらサイドのことには興味がないと思っていたから余計に意外だったのかもしれない。
しかし面白くない。立夏の交友関係に口を出すつもりはないが、自分の知らないところで他の野郎との繋がりが増えるのはいい気がしなかった。
それに未空が言うように知り合った経緯についても気になるところだが、今回ばかりは仕方ない。
今協議すべきことは他にもある。


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