歪んだ月が愛しくて2
「……リカが“化け物”なら俺だって“化け物”だよ」
無意識に口に出していた、言葉。
それは尊に拾ってもらう前の誰にも必要とされない俺だった。
「“化け物”の定義って何?人より喧嘩が強いこと?人と目の色が違うこと?」
「………」
尊達3人が静かに俺の出方を見守る中、理事長はその言葉の真偽を見極めるかのように険しい表情を崩さず俺を見据えていた。
「教えてあげるよ。本当の“化け物”ってのはそんな俺達を指差して嘲笑うクズ共のことだよ」
ピクッと、無意識に理事長の瞼が揺れる。
「リカは“化け物”なんかじゃない。喧嘩が強いのも、人と目の色が違うのも、そう言うのは個性って言うんだよ」
「個性、だと…?」
昔、尊が教えてくれた。
人と違うことは決して悪いことじゃないと。
それを好きになれるか嫌いのままかは自分次第だけど、俺は尊と出会えたことで自分の嫌いな部分を誇りに思うことが出来た。
『―――まるで空の色だな』
何度も、何度も、この目を穿くってやろうと思った。
そうすれば皆と同じになれる、母親に愛されると本気で思っていたから。
でも実際にはそんなこと出来なくて、毎日のように母親に“化け物”と罵られ、俺の存在そのものを否定され、最後にはゴミのように捨てられた。
そんな絶望の淵にいた俺に手を差し伸べてくれたのが尊だった。
あの日から尊は俺の“光”となった。
どんなに他人から非難されようと、“化け物”と陰口を叩かれようと、尊がいれば俺は迷わずに進むことが出来た。
「確かにヨージは言い過ぎたよ。多分言いたくないこともいっぱい言わせちゃったと思う」
「未空…」
だから、今度は俺が教えてあげる。
「でも最初にリカを“化け物”って言ったアンタの方が、本当は誰よりもそう思ってんじゃないの?」
「……は、」
リカは“化け物”なんかじゃなくて、俺達の大切な仲間だってことをね。