歪んだ月が愛しくて2
未空の苦笑と頼稀の溜息で迎えた朝。
それだけ見れば普段と変わらない日常の一部だが、昨日に限っては未空と同じベッドで寝てしまったためこのような失態を犯してしまった。
……恥ずかしい。
寝惚けてたとは言え何やってんだか。
それに未空が隣にいたのに熟睡しちゃったし、あろうことか頼稀の不法侵入にも気付かないなんてどうかしている。平和ボケも大概にしないと本当痛い目に遭いそうだ。
「未空ごめんね。頭打たなかった?」
「う、うん…。頭の方は大丈夫だけど…」
「けど?」
「いや、この体勢が色んな意味でキツいと言うか、俺のがリカに当たっちゃってると言うか…」
「当たってる?何が?」
「それはナニ…「お前が重いからいい加減退けって言ってんだよ」
もぞもぞと身体を捻らせ顔を紅潮させる未空の言葉を、頼稀はそれ以上は言わせまいとスパッと遮った。
すると寝室のドアの向こうから聞き慣れた複数の声が聞こえて来た。
「頼稀、立夏と未空いた?」
「2人共まだ寝てるんじゃない、のか…な……」
満面の笑みで寝室に入って来た希と葵は俺達の状況を見た瞬間、その顔のままガチンと固まった。
2人から見た俺達の絵図は、未空の上に馬乗りになっている俺にスマートフォンを構えている頼稀と言った一歩間違えれば誤解を生みそうな場面だった。
2人は笑顔のまま一歩ずつ後退して行く。
いや、ちょっと待ってよ。
どこ行くの?
その顔は絶対に誤解してるでしょう?
「おい、これは…「キャー!り、立夏くんが未空くんを襲ってるー!」
「しかも頼稀がハメ撮りしてるぞ!不潔!最低!」
「「誤解だっ!!!」」
襲ってない!断じて襲ってないから!
確かにそう言う風に見えなくもないけど誤解だからね!
俺は未空の上から退き、頼稀を突き飛ばして2人の後を追ってリビングに向かった。
起き上がった時「ぐえっ」と呻き声のような音が下から聞こえたが、気のせいだと自分に言い聞かせて寝室のドアを開けると、そこにはリビングのソファーに偉そうに踏ん反り返ってるみっちゃんと、左右からみっちゃんに抱き付いて笑いを堪えるように嘘泣きする希とマジでビビってる葵、そしてダイニングテーブルの椅子に座って「おはよう」と暢気に挨拶をする遊馬と、何故か顔面真っ青な汐が勢揃いしていた。
……何故?
「あれ…、何で皆まで…」
「ねぇ、いつまで寝てるつもり?この僕を待たせといて暢気に乳繰り合ってるとはいいご身分だね」
「あ、すいません………じゃなくてっ、それ誤解だから!断じてそう言うことはしてないから!てか、何で皆が俺の部屋にいるの!?」
「そ、それは、頼稀くんが、鍵を開けてくれたから…」
おい、何やってくれてんだあのピッキング野郎。
プライベートもクソもねぇだろうが。
「でも、まさか、立夏と未空の×××を撮るために入ったとは思わなくて……ふはっ」
「せめて笑うか泣くかどっちかにして!!」
「じゃあ遠慮なく」と言った途端、希はコロッと態度を変えて腹を抱えたまま盛大に笑い転げた。
いや、どっちかにしてと言ったのは俺だけどさ、もう少し気を遣ってくれても良くない?
大袈裟に騒いで事を荒立てようとしてるのバレバレだからね。
ガチでビビってる葵を更にビビらせようとしてるの分かってるからね。