歪んだ月が愛しくて2
未空Side
類は友を呼ぶって言うけど、アオの彼氏もとい幼馴染みくんはアオとは全然タイプの違う人だった。
「史くん、お見舞いに来たよ」
「あ?また来たのかよ」
「もう、またそんな憎まれ口叩いて素直じゃないな。僕はいいけど僕の友達や先輩達の前でそう言う態度はやめてよね」
「友達…?」
ネームプレートには“杜山史和”と書いてあった。
聖学にはいないタイプ(D組は除くけど)のザ・不良みたいな人で、赤色の派手な髪が特徴的だった。
アオと違って目付きが悪いけど、入院中で髪を弄っていないせいか年相応の思春期真っ盛りな少年って感じに見えた。
そんな彼は病室のベッドの上で上半身を起こしてバイク雑誌を読み耽っていたが、アオに続いて俺達まで病室に入って来たためポカンとした表情を見せ困惑しているようだった。
「………誰?」
「僕の学校の友達と先輩だよ。史くんのお見舞いに来てくれたの」
「は?見舞い?」
杜山くんは怪訝そうな表情を見せた後、俺達の顔をジッと見渡した。
「……何で?俺知らねぇ奴ばっかなんだけど」
「史くんが怪我したことを相談したら皆も心配してくれて…。それでお見舞いに来てくれたんだよ」
「は?あのこと話したのかよ?」
「だって、僕も心配だったから…」
「はぁ…、大袈裟。一々心配すんなよ、母親じゃあるまいし。だからお前には話したくなかったんだよ」
「そんなっ、……心配するに決まってるじゃん。僕は史くんのお母さんじゃないけど幼馴染みなんだよ。あの日だって本当は史くんの誕生日を皆でお祝いしようと準備してる時に警察から連絡があって…」
「あのな、普通高校生にもなって家族で誕生日会なんてしねぇだろう。だからいいって言ったんだよ。それなのにお前がうちの母ちゃんと一緒になって強行すっから…」
「史くんは何ともないような言い方するけど、警察から連絡が入った時の史くんのお母さんの顔、凄く真っ青で震えてて…。本当怖かったんだよっ」
「だから大袈裟だって言ってんだよ」
「史くん…」
鬱陶しいそうにアオを邪険に扱う、杜山くん。
んー…いくら思春期真っ盛りで悪ぶってるからって折角お見舞いに来てくれたアオにその態度はあんまりだと思うけど。
すると。
「そう言う言い方はないんじゃないの?」
そんな2人の間に仲裁に入ったのは、意外にもリカだった。
「立夏、くん…」
「あ?関係ない奴は黙ってて…「葵の友達は君だけじゃないんだよ」
「、」
「だから君が葵にそんな態度を取るんだったら口挟むのは当然だろう、葵は俺達の友達でもあるんだから」
「………」
珍しく笑顔で対峙する、リカ。
眼鏡と帽子とマスクのせいでいつもより顔を隠しているから分かり難いけど、リカの目元が三日月のように弧を描いていた。
どんな格好でも相変わらず文句なしに可愛いし綺麗だけど、その笑顔が何か胡散臭く見えるのは俺だけかな?
そんなリカの無害そうな笑顔を見て杜山くんの眉間から皺が消えたが、まだ表情は堅いな。
「眼鏡ちゃんの言う通り!エンジェルは君だけの天使じゃない!皆の天使なんだぞ!」
「め、眼鏡?天使…?」
「佐々山、紛らわしいこと言うなよ」
「要は俺達にとっても葵は友達ってことだ」
「てか、この中でアオと一番付き合い長いのって頼稀じゃない?」
「俺と遊馬もいるぜ」
「何だかんだ言って初等部からの付き合いだからね」
「ふふっ、そうだね」