歪んだ月が愛しくて2
夢を見た。
いつもの悪夢ではなく、大切な彼等と共に過ごしていた頃の幸せな光景。
母親みたいに俺の世話を焼く公平がいて、
血の気が多い獣のように俺を挑発するヤエがいて、
そんなヤエから俺を守るように盾となるハクがいて、
2人がヒートアップした頃にすかさず仲裁に入るナツがいて、
我関せずと子猫のように俺の足の間で眠るカイがいて、
そんな彼等を見ているのが、俺は好きだった。
記念日でも何でもないいつも通りの日常が、どうしようもなく大切でかけがえのない日々だった。
守りたかった。
何者にも代え難い大切な彼等を、日常を、俺自身の幸せを、何としても守らなければならなかったのに―――。
『…ごめん、シロ……』
ああ、やっぱり…。
俺は、夢の中でもまた失うのか。
「俺が、ずっと傍にいるから…」
それなのに、どうしてだろう。
心地良い低い声に、涙が溢れて止まらなかった。