歪んだ月が愛しくて2
こう言う時は九澄に聞くのが一番手っ取り早いんだが…。
「ああ、もう会長と話してたら頭痛くなって来た…。俺ちょっと外の空気吸って来ます」
「人のせいにすんな。頭痛ぇなら車で大人しく休んでろ」
「外の空気吸えば治りますよ」
「だったらポケットに入ってるものは置いて行け」
「っ、な、何のこと…?」
「その状態でヤニ吸ったら余計悪化するぞ」
「や、やだなぁ、俺は別にそんなこと…っ」
「それに“次はねぇ”って言ったよな?」
「ヒィッ!?く、九澄先輩助けて下さいっ!!」
「ふふっ、流石の僕も今回ばかりは加勢出来そうにありませんね」
「俺に死ねと!?」
「そこまでは言っていませんよ」
……ダメか。
こりゃ当分終わらねぇな。
「ま、待って!これには訳があって…」
「ほお、どんな訳だ?俺の忠告を無視してまで強行する大層な理由があるなら今ここで弁明してみろよ、ほら」
「いや、だからその、これは…、さっきそこに落ちてたから交番に届けようかと思って…」
「だったら俺が届けてやるから寄越せ」
「会長の手を煩わせるわけにはいかないよ。だからこれは自分で…」
「店内での落とし物でしたら交番よりも事務所に持っていた方がいいと思いますよ」
「あっ、そ、そうですよね!じゃあ…、」
「立夏」
「ゔっ…」
「………」
「………」
「………」
「………てへぺろ」
「死刑」
「すいやせんしたぁぁああああ!!!」
まるで誰かさんに見せつけるかのように騒がしい、りっちゃんと尊。
まあ、りっちゃんにそんな意図はねぇんだろうけど、尊の場合は他意有りまくりだろうな。
車の中で何があったのかは分からない。
ただ車に乗る前と降りた後では明らかに顔色が良くなっているから、りっちゃんにとって尊の存在は決して悪いものではないんだろう。
尊にとっては………、言うまでもないな。