歪んだ月が愛しくて2
◇◇◇◇◇
「―――そう言うこと」
ピタッと、その声にアゲハの動きが止まる。
階段を下るアゲハに誰かが声を掛けた。
「やけに仲が良いと思ったら…、おたくらってそう言う関係?」
階段の下から現れたのはGDのリーダー、我孫子劉だった。
「盗み聞きかい?見た目通り悪趣味だね」
「ハッ、お前にだけは言われたくねぇよ」
我孫子の手には煙草の箱が握られていた。
恐らく喫煙場所に屋上を選び偶然話を聞かれたのだろう。
「未成年の喫煙は法律で禁止されているよ」
「固ぇこと言うなよ。お前んところにも大勢いんだろうが」
「さあ、何のことだか」
「この期に及んで恍けんのはなしだぜ。―――“蝶々”のお頭さんよぉ」
嫌な予感は大抵当たる。
「おやおや、目障りな羽虫がここにもいたとは」
でもそれが何なのか、この時の俺には分からなかった。