歪んだ月が愛しくて2
立夏Side
それから暫くして頼稀と未空がリビングに戻って来た。
リビングでは明日のテストのことなんか忘れてすっかり夏休みモードに入っていた。
「おっまた〜」
「悪い、遅くなった」
「本当だよ。もう喉カラカラ」
「あれだけ喋ってたらね」
「はい、リカどうぞ」
「ありがとう」
「どう、俺が淹れたコーヒーは?」
「誰が淹れたって?」
「うわっ、地獄耳!」
「誰が地獄耳だ」
頼稀は人数分のコップを乗せたトレーを机の上に置くと、未空はその中からコーヒーの入ったカップを取って何故かいの一番に俺の前に差し出した。
どちらが淹れてくれたかはさて置き飲んで飲んでと無言の圧を掛けて来る未空にお礼を言って差し出されたカップに口を付けた。
「……美味しい」
「良かった!リカが喜んでくれて!」
そう言って未空はお日様のように微笑んだ。
さっきまで暗い顔してたのが嘘のように思える。
何はともあれ未空にいつもの笑顔が戻ってくれて安心した。
「で、何騒いでたんだよ?」
「そうそう、キッチンまで皆の声が聞こえてたよ」
「皆で夏休みの計画について話してたんだ」
「計画?」
「おう。夏休みは皆で海に行くぞ!」
「海!?行く行く!絶対行く!」
「何でまた海なんて…」
「夏と言えば海じゃん。頼稀も久しぶりにサーフィン出来るぜ?」
「……行かないとは言ってない」
「そうこなくっちゃ!」
「フン、どいつもコイツも浮かれやがって…」
「そう言う邦光くんもさっきまでテンション高かったよ」
「べ、別にそんなこと…っ。それよりも明日はテストだぞ!テストで赤点取ったら夏休みもクソもないんだからな!」
「ああ、思い出させないでー…」
「コラ、現実逃避すんな!明日は絶対赤点取るなよ!」
「みっちゃんの鬼ぃ〜」
「誰が鬼だ!」
「もう2人共喧嘩しちゃダメだよ。邦光くんも未空くんなら大丈夫だよ。この1週間ちゃんと勉強したんだから」
「ただ勉強すればいいってもんじゃないだろう。コイツの場合、普段勉強してない分ヤマ外したら終わりなんだから」
「後は本人次第だろう」
「そう言うこと!」
「お前が言うな!」