歪んだ月が愛しくて2



「で、今日はどうしたの?生徒会に何か用?」

「……リツに、話があって来た」



(ああ、やっぱり…)



無意識に下唇を噛む。



「ふーん…」

「……何だよ。お前が教えたんだろう」

「まあ、それはそうなんだけどさ。そうじゃなくて“リツ”ってリカの呼び名?可愛いね」

「「は?」」

「うん、やっぱ可愛い。リカって何でも可愛くしちゃう天才なの?可愛いしかない」

「………」

「……未空、その話は後でにしない?」

「何で?俺可笑しなこと言った?だってリカが可愛いのは今に始まったことじゃ…「ちょっと黙ろうか」



空気読むって知ってる?分かる?
いつもの面子ならまだしもこの状況でよくそんなことが言えるな。
神経図太過ぎて怖いよ。未空が通常運転過ぎてついていけない。
カナも「何だコイツ…」みたいな顔して引いてるんだけど。



「てか、カナちんって意外とせっかちさん?堪え性がないんだね」

「お、お前には関係ないだろう…」



フイッと未空から視線を外したカナは、母親似の猫目を細めて俺に手を伸ばす。



「来い」



でも俺にはその手を掴むことが出来なかった。



「お前に話があるんだ」



身体が、動かない。


声が出せない。



「リツ」

「、」



言いたいこと言うって、もう逃げないって、決心したはずなのに。



「もう、何でカナちんはイケメンなのに眉間に皺寄せってんの?リカが怖がってるじゃん。もうちょっと優しく出来ないわけ?」



そこに未空の声が割って入る。



「お前には関係ないって言ってるだろう。これは俺達の問題だ」

「関係ないけど、リカは俺達の仲間だから関係なくないの!……あれ、どっちだ?」

「どっちだよ」

「兎に角!自分のことだけじゃなくて、リカの意見も聞いてあげなよ!」

「っ、」



途端、カナは言葉を詰まらせた。



「未空…」



どうして俺なんかに優しい言葉をくれるんだろう。

会長にしかカナのことを話してないのに、それなのにどうして…。



「リカはどうしたい?」

「俺、は…」



未空の空色の瞳に俺が映っている。
たったそれだけのことなのに、臆病で卑屈な心がこんなにも穏やかな気分になっていく。



「カナちんと行く?それとも…」



俺は…、


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