歪んだ月が愛しくて2
「いやー!カナちんが生徒会室にいるのって何か不思議な感じだね!」
結局、俺はカナの手を取ることが出来ず、反対にカナを生徒会室に招き入れた。
まあ、提案してくれたのは未空なんだが。
「何で俺がこんなところに…」
「とか言って、最終的に折れたのはそっちじゃん」
「お前がリツの意見を尊重しろって言ったんだろう」
「それ俺のせいにしちゃう?リカに釣られてのこのこと付いて来たくせに……ぷぷっ」
「釣られてねぇよ!」
「もうカリカリしないでよ。リカに話したいことがあったんでしょう。だったら静かなところの方がいいじゃん。今日はまだ他の皆も来てないし、ここなら誰にも邪魔されずにゆっくりと話が出来るよ」
「……お前は?」
「勿論ここにいるよ。リカのことが心配だからね」
「心配?」
「眉間の皺が直ってないから」
未空とカナが向かい合わせでソファーに座ったのを確認してから給湯室に逃げ込もうとした時、未空に「どこ行くのかなー?」と見つかってしまい渋々未空の横に座らされる羽目となった。こう言う時だけ目敏いんだよな。
「それで、うちのリカに何の用かな?」
「娘を嫁に出す父親か」
俺のツッコミに未空は「俺は父親じゃないよ!」と言っていつものように騒ぎ出す。
でも本当は俺に気を遣って態とふざけた口調で「いつもの仙堂未空」を演じようとしてくれていることには気付いていた。
未空は優しい。過去に何をして来たかは分からないが、本当は他人の痛みが分かる人なんだと思う。
(さっきだって…)
「まあ、それはそうと、難しい話をする前に何か飲まない?俺喉乾いちゃった」
そう言って自然と2人だけの空間を作ってくれるのも、未空の優しさなんだよね。