ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 仕事を終えた夜、オフィスで四宮に電話をかけたものの耳元には機械的なアナウンスが流れるだけ。
 
 (大丈夫か? 倒れているとかないよな?)

 それでも家まで行けなかった。四宮を俺の部屋に来させることはできても、自分が四宮の部屋に訪れるなど想像ができなかったのもある。そこまで踏み込んでいいものか、俺から? 正解がわからない。
 
 心配だったから、それでいいじゃないか。

 頭の中の俺が投げてくる。いい歳して部屋まで押しかけるって非常識すぎないか? 別の思考がまた囁く。

 結局、行けなかった。

 翌朝、明るい顔で出社した四宮。その笑顔が逆に心配になった。

 から元気、そんな感じがしてより目が四宮を追う。休んだ分の仕事をさばくのに時間を取られているのか、いつも以上に集中して仕事をしている姿は何だか痛々しくて。

 他を遮断したいような感じが……経験したことがある手前わかりみすぎて声をかけたくなる。それでもオフィスなのだ、気軽に二人になれるチャンスはない。呼び出すことは可能だがタイミングがある。運悪く今日は打合せばかり入ってオフィスにもいれない。

 定時後にようやく解放されたとき、チームのひとりとぶつかった。
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