ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 その声がどこか寂しげに聞こえて思わず言う。

「安積さんがいなくても大丈夫、って意味じゃないですよ?」

「プッ……そんな風に思ってないよ」

 くしゃっと笑う顔が可愛い。でも変な誤解はさせたくない。

「いてくれないと困ります」

 仕事だけじゃない……私には安積さんがいないと困る。

「わかっているけど……理解しているけど……やっぱり……」

 それ以上は言葉に出来ない。ここまで言って今さらじゃないか、自分に突っ込むがどうしようもない。

(行かないで、どこにも)

 思いが叶わなくても――近くにいて欲しい。

「……せっかく作ってくれた料理が冷めてしまう。食べていい?」

「はい……」

「四宮も料理上手なんだな」

「まだ食べてないじゃないですか……」

 味も確認せず褒めてくるから照れ隠しで言ったのに。

「使ってる野菜とか香りとか……手が込んでる。料理してる証拠じゃない?」

「……」

「うまそう。休みなのにありがとう」

「……」

 私がしたくてしているんだ。安積さんがお礼を言うことなんかひとつもない。なんなら私のしたい事に付き合わせているだけなのに。

「ありがとうは、私です……」

「え?」
< 186 / 248 >

この作品をシェア

pagetop