ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 自分の手で終わらせた……。

「うっ……ぅぅっ」

 もう安積さんの傍にはいられない、その奪われた現実を思うだけで胸が引きちぎられそうだ。

 後悔なんかない、始めたことも終わらせたことも、全部私が望んだこと。

 なのに――。

 ――グイッと腕を引かれてハッと顔を上げた。

「こんな時間に何してるの……ひとりで……そんな顔して……」

「や、なせ部長……」

「……本当に君は……」

 眉を顰められて呆れ顔、でも拭ってくれる指先が温かくて優しくて。

「また傷を増やしたのか?」

 話せと、柳瀬部長の瞳が言っている。この涙の意味にちゃんと気づいて、寄り添おうとしてくれているのがわかる。
 
「……お別れを……しました。私からも、ちゃんと」

「そう……」

「忘れてって……忘れるからって、言ったのに……っ」

 なのにどうして私は……。

(どうしてこんなに諦めきれないのっ……)
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