ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 そう切り出したら目が軽く見開かれて、安積さんが何かを察してくれた。それが何にかも予想は出来た。

「キャリアアップの話?」

 そうくると思っていた。結局キャリア面談の中身は大した話も出来ずに終わってしまっているから。上司として気配りの出来る優しい人なんだ。気にかけてくれているのはわかっていた。

「あの日、おっしゃいましたよね? 相談に乗ってくださると、力になるって」

「ああ……言った」

「いろいろ考えて、ひとつの答えを出しました」

「うん。なんだった?」

「好きです」

「……う、ん? うん? なにが?」

「安積さんが」

「……」

 安積さんが固まってしまった。

「あなたが好きです」

「……何の話?」

「告白です」

 それでもやはり安積さんは固まって、そして口を噤んでしまった。
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