ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 後悔ならもう何度でもしている。

 後悔ばかり重ねて、逃げることに慣れて……でも寄り添われたら抱きしめたくなる気持ちを無視できなくて。

 この腕を伸ばして引き寄せたら後悔しないか、そんな思いが邪魔をして躊躇った。

「忘れたくないって……泣くあの子を俺が抱きしめたって意味がないんだよ」

「柳瀬……」

「あの子さ、ビックリするほど俺に眼中ないんだよ。俺の方が絶対いい男だと思うんだけど」

 ケロッとそんなセリフを吐いても嫌味がないのが柳瀬のすごいところである。否定など出来ない、その通りだから思わず笑ってしまう。

「四宮は趣味が変なんだよ」

「だったらなおさら手放すな」

「え?」

「こんな自分を、って思う自分を誰よりも好きだって言ってくれる人間なんか人生においてそう出会えないんだよ」

 柳瀬に言われる言葉に自分の胸のしがらみが解かれていくようで……そこから滲み出るような思いがある。

 もう後悔はしたくない。

 俺が――今度はちゃんと守って抱きしめてやりたい。 
< 220 / 248 >

この作品をシェア

pagetop