ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
第六章

キラキラ舞う言葉

 今年のクリスマスもひとりきりだ。

 賑やかな街中に出向いていけるほど心は晴れていないし、カップルだらけの中に紛れ込むほど心に余裕はない。クリスマスなんかなければなんでもない休日なのに、クリスマスというだけでとんでもなく華やかで賑わう休日。待ち望む人には楽しみすぎる一日、ひとりで寂しく過ごす人にはただただ長い一日だ。

「はぁ……」

 これは何度目の溜息だろう。息を吐くのと変わらないくらい定期的に重い息を吐いている。

(安積さんはもうこの週末をすぎたら行っちゃう……)

 考えても仕方がないのに考えてしまうのはそればかり。もう行ってらっしゃいも言えない、おかえりなど二度と言えない関係になった。

(初めてお部屋に行ったとき、嬉しかったな……)

 たくさんの思い出が今も胸の中で生き続けてたえず私の脳内で再生されるのだ。

 過ごした時間、見つめ合った時間、交わした言葉……どれも未だに思い返すだけで胸をときめかせてくる。いつまでこの思い出は色褪せず胸の中にいてくれるだろう。

 忘れたくないの……このかけがえのない思い出を抱いて私はまた毎日を生きていきたいから。

(本当にしつこい……バカみたい)

 気が緩むと目元がうるっとしてしまうから必死で頭を振ったらインターホンが鳴った。
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