ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 絡めとるようなキス、口の中で逃げようとする私を逃さないように追いかけてきて結局捕まる。こんな狭い限られた中で逃げるもなにもない。粘着性が高まる舌と舌が絡む熱がより高く感じる。それはまるで何かの生き物のように戯れて絡み合う。

「ぁ、んっ……はぁっ」

 一瞬離れて息を吸おうとしても結局飲み込まれて苦しいだけ。鼻で息を吸えることを思い出して咄嗟に呼吸法を変えてみたものの乱れた状態ではすぐに平常運転できなくて、私は自分でも信じられないほどの甘い声をこぼしていた。

「ンッ、ぁん」

 吐き出される甘い吐息と一緒に安積さんが囁く。

「可愛い声出すんだな」

 こんな声は知らない。私でも初めて聞くのに、そんな風に言われたら恥ずかしくなる。

「ちが……出し、出させてるのは安積さんですっ」

「へぇ? 俺のせいなんだ?」

 そんな風に責めてもどこか嬉しそうにニヤッと笑われて言い返そうとした口をまた塞がれる。

「んーっ!」

「……それなら……もっと聞かせてもらおう」

 (もっと?! もっとって……無理っ!」

 抱きしめられる腕の中で多少の抵抗を示してみても包み込まれたら身動きなんか取れなくて、ただ焦れるように震えるだけみたいな私。こんなに求められるようなキスをされたのは初めて。

 だから受け止めるので精一杯なのに……。

 (こんな……こんな体の神経まで震えそうなキス……無理ーっ!)
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