ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 大学の頃に告白されて断り切れずに付き合った恋人がいた。それがそのたったひとりで唯一の元カレだ。

 結構目立つタイプだった彼はフランクな性格で、だから距離の詰め方も速くて恋愛慣れしていない私にはついていけないほど。

「断るとかもうまくできなくて、気づいたらお付き合いが始まっていたみたいな感じでした」

「……好きだったんでしょ? その彼のこと」

「そう、ですね。好きか嫌いかだったらもちろん好きだったと……」

 でも恋だったのかと言われたらわからなかった。当時はこういう感じで恋人はできるのかもしれない、好きと思う気持ちが少しでもあれば向き合って寄り添えばそれが本物の恋になるのだと。

 でも。
< 45 / 248 >

この作品をシェア

pagetop