ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 綺麗な毛並み、ピンと跳ねた耳。
 鼻をふんふんと鳴らして安積さんの腕に抱かれて心地よさそうにしている姿が単純に可愛い。

 触りたい、そうは思ってもここは我慢。焦りは禁物である。正座して一定の距離を保ちつつモモちゃんを観察し続ける。

「可愛いですね……目もクリクリで……美人系のお顔ですね。あ、美形か」

「四宮にそんなに見つめられたら照れるんじゃない?」

「そうかな……でもちょっと鼻が高そうじゃないですか?好きなだけ見たまえ、みたいな」

「偉そうだな」

「かわいい~……」

 うっとりと眺めていたら安積さんがモモちゃんを抱き上げて私に差し出してきた。

「え」

「抱っこしたら?」

「ええ、で、でも……」

「大丈夫な気がする」

「ええ、そんな」

「はやく、俺トイレ行きたい」

 ズイッと半ば押し付けるようにモモちゃんを差し出されて慌てて両腕で抱き留める。それでもモモちゃんは私の腕の中にすっぽりと納まってくれて逃げようとしないから……。

(かか、かわいい~!)
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