ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
「四宮って、ホント面白いな」

 だからなにも面白いことは言ってないんだけど……は言わずもがな。どうも面白い認定をされてしまった。

「リビングだと……モモちゃんもいるし。本当に寝室までお邪魔する気は……ありませんから」

「……」

「もう今はそれ以上に充分な気持ちで……このお部屋で過ごさせてもらえてそれだけで……なので……」

 踏み込みたい気持ちがゼロなわけじゃない。でも寝室などという特別な場所に喜んで入っていけるほどまだ私の精神はたくましくなかった。嫌とかではない、なんなら入りたい、でも……そんな気持ちを今は言えるわけがない。

 (そこにはもっと特別な存在になれてから……そう思うのは私が幼いのかな……)

 私ばかりが意識している。それに胸が痛くなる。

 そんなこと当たり前だ、私が無理を言ってこんな関係を押し進めているのだから。

 安積さんは十分寄り添ってくれているのに、贅沢なことを望みすぎたら怖くなるばかり。

 これは期間限定の恋。
 好きになってもらう、それは私の勝手な目標で……それが叶う保証などどこにもないのだから。
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