ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 悶々思い言葉に詰まる私。

 それを見かねてか、安積さんは小さくため息をこぼして頷いてくれた。

「分かった。本当にいいの? ソファでも」

「問題ありません!」

「じゃあ布団取ってくる」

 微笑んでそう言ってくれた。結局我儘ばかり言っているのだろう。

 素直にありがとうございます、そう言ってベッドで寝させてもらった方が可愛げがあったかもしれない。そんな後悔を一瞬でしてまた落ち込んだ。

 正解がわからない。

 したいことや思うこと、それでもそれがどれも自己中な気持ちとわかるから。

 相手がどう思うのか、どう感じてどう受け止めるのかまで考えきれない。


 結局私は嬉しい気持ちより悶々とする気持ちを抱えて眠りにつくことになった。

「リビングの電気、薄くつける?」

「普段はどうされてますか?」

「うん? そこの小さな間接照明だけつけてる」

 ここはモモちゃんが普段寝起きしている部屋だ。いつも通りがいいに決まっている。

「いつもと同じでお願いします。私は暗くても明るくてもどこでも寝られるタイプなので。ただでさえ私がいるからモモちゃんのストレスが増えてるだろうしせめて環境は変えずにお願いします」

「……わかった。ありがとう」

 パチリ、とほんのり灯る間接照明。薄暗い中で柔らかなオレンジ色に照らされる安積さんはいつもよりずっと色気があった。
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