ダーリンと呼ばせて~嘘からはじめる三カ月の恋人~
 知らない顔と知った顔が交差して、不思議な気持ちだ。

「四宮のこと、よく見てきたつもりだったけど……そんな性格だったとは知らなかった」

「そ、そうですよ?! 安積さんだって私のことなんかなにも知らないじゃないですか! もっといろんなこと知って分かったら年齢なんかどうでもいいってなるかもしれませんっ!」

(四宮こそ俺を何も知らないくせによく言えたな?)

 そう思ったから言ってやりたくなる。

「四宮だって、俺のことなんか何も知らないだろ?」

(何が好きなんだ、一体どこを……こんな俺なんかのことを……)

 歳を重ねるほどどんどん自己肯定感が低くなって、俺なんか、そう思うばかり。

 誰かを好きになることよりも好きになってもらうことの方がない気がしていた。

「だから、知りたいんです。もっと」

「もっと……安積さんを知りたい」

「ちゃんと、諦めます。約束します……だからっ……」
 
 震えた声で、今にも泣きそうなほど瞳を揺らして堪える姿が――。
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