ダーリンと呼ばせて～嘘からはじめる三カ月の恋人～

　「大人の恋ってどんな感じなのですか？」

　四宮は相変わらず爆弾を投げてくる。とりあえず場所とタイミングだけは考えてほしいものだ。

　突如問いかけてくる質問がまたも予測できない突拍子もない言葉で、やはり若い子の考えることなど理解できんと思うだけ。

　しかも、言う言葉がそれだ。
　
「大人の恋？　なにそれ」

　馬鹿にしたわけではないけれど、シラフで聞いてくるには少し、いやかなり恥ずかしい言葉である。

　そこから打ち明けられた四宮の恋愛歴に少し驚かされて、単純に意外だなと思った。学生時代に華やかな恋愛経験を積んで、社会に出ても年相応の男と付き合っていそうなそんな風に見えていたからだ。なのに付き合った相手はただのひとりで、しかもかなりのモラハラ体質男。その相手のせいで軽い男性恐怖症にまでなっている。
　
　それよりもだ。
　
「怖いって何？　俺も男だけど」

（え？　って、なんでそこでそんなすっとぼけた言葉が出るんだ。俺を善人の神様とでも思っているのか！）