【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
「ギルベルトに頼まれていたティンナール伯爵家の件だが、思った以上に悲惨だ……目も当てられない」

「……!」

「前ティンナール伯爵が悲しむ結果になるだろうな。彼は立派に領を治めていたが……今は見る影もない」


ギルベルトも前ティンナール伯爵のことは知っていた。
彼は厳格だが、とても素晴らしい人だった。
一代で数々の功績を残して陞爵し伯爵を賜るほどだ。
彼が病で亡くなるまではティンナール伯爵領はとても評判が良かった。
元伯爵夫人も後を追うように亡くなってしまい、現ティンナール伯爵はやりたい放題。状況は最悪だった。


「こちらも色々な報告を受けていたが、決定打はなかった。今後しかるべき罰を与えることになるだろうが、パーティーまでには間に合わない」

「……」

「今はお前が払った金があるからな。それも事業に使っているのではなく娼館に注ぎ込んでいるらしい……またヴァネッサを使い金の無心をしてくるかもしれない。気をつけろよ」

「……わかりました。ありがとうございます」



時間の問題だが今はその時ではないと言うべきだろう。
ヴァネッサを救うために払った金が逆に彼らに猶予を与えてしまったようだ。
だけど自らの首を絞めるような形で落ちぶれていくのだろう。


「それから……ヴァネッサを幸せにしてやってくれ。ワシもここに来るまで資料をみたが……途中で耐えられんかった」


ヨグリィ国王はそう言って目頭を押さえた。
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