【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
「いかんいかん、歳のせいで涙もろくてな」
「そんなに俺と変わらないでしょう?」
「ガハハッ! 威厳は大切だろう?」
ヨグリィ国王は多数の護衛を引き連れて屋敷から出て行った。
まるで嵐が去っていくようだった。
静まり返った部屋で、ギルベルトは渡された資料をめくっていく。
ページをめくるたびに次第に震えが止まらなくなっていった。
(なんだ……なんだこれは! こんなこと許されていいはずがないっ!)
ギルベルトは拳を握り、思いきりテーブルを叩いた。
行き場のない激しい怒りがギルベルトを支配する。
頭がどうにかなってしまいそうだった。
今まで彼女がどんな状況で生きてきたのかが赤裸々に書かれていた。
ティンナール伯爵家に出入りしている商人や御者からの調査だが、彼らもあまりの扱いに話すことを躊躇したという。
今になりヴァネッサがとっていた行動の意味をすべて理解する。
(俺が……もっと早く動けていればヴァネッサは必要以上に苦しまずに済んだかもしれない)
後悔ばかりが込み上げる。
ヴァネッサを救い出せて安心するのと同時に健気に強くなるという彼女の気持ちに心打たれた。
『わたしもギルベルト様とアンリエッタのために強くなりますからっ!』
誰にも守ってもらえなかったヴァネッサはどんな気持ちでこの言葉を言ったのか。
そのことをが大きく心を揺さぶる。
「ヴァネッサ……君は俺が何としても守る」