【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
(あっ……! そうだわ、思い出した。これは物語で知ってる。アンリエッタがマエルを遠ざけるきっかけになったという一件ね)
ヴァネッサが自ら命を経ったところを目の当たりにしたアンリエッタは心が弱っていた。
シュリーズ公爵の噂のこともあり幼いアンリエッタは知らず知らずのうちに精神的に追い詰められていたのだろう。
この件でマエルに『可愛くない』と、言われたことでアンリエッタは反射的に彼に暴言を吐いてしまう。
そこから二人の確執が始まるのだ。
しかし結局はアンリエッタが婚約者に決まってしまい……という流れになっていたことを思い出す。
今は物語と状況も違うため、アンリエッタはなんとか取り繕うことができたようだ。
ここでアンリエッタが悪役令嬢の道を歩まないようにヴァネッサに手伝えることがあるとすれば、マエルとの仲を悪くならないようにすることではないだろうか。
それにヴァネッサの気のせいでなければ、アンリエッタとマエルは互いを意識して好意を持っているのかもしれない。
つまり気になる相手ということだ。
「アンリエッタ、聞いてちょうだい!」
「なにかしら?」
「男の子はね、好きな子ほど意地悪したくなるのよ!」