【完結】悲劇の継母が幸せになるまで
ヴァネッサもアンリエッタに自分の過去を話し始めた。
アンリエッタと同じように、ヴァネッサの母親はヴァネッサを産んで亡くなってしまったこと。
後妻と妹にずっと虐げられて、小屋のような場所に閉じ込められて一人で過ごしていたこと。
その後も物置きのような場所で寒さに震えて過ごして、令嬢としてではなく使用人として働いてきたことをアンリエッタを怯えさせないようにマイルドに話していく。
真実はあまりにも惨すぎて、それこそアンリエッタのトラウマになってしまうと判断したからだ。


「昔から咳が止まらなかったの。肌もね、ずっと痛くて痒かったわ。わたしは病弱で何もできなかった……だからこそお父様たちは妹のエディットが可愛くてたまらなかったんだと思うの」

「……っ」

「わたしが令嬢として役立たずだと罵られたわ。だけど、どうしようもできなかったの」


アンリエッタは真剣にヴァネッサの話を聞いてくれた。
ヴァネッサは自分の過去と向き合いながら瞼を閉じる。
恐怖や苦しみに向き合うことはとてもつらいけれど、だけど今のヴァネッサが次のステップに進むためには必要なことなのかもしれない。

こうして言葉にすることで、ヴァネッサが一人で抱え込んでいたものから少しずつ解放されていくような気がした。
周りにいるレイやセリーナにも聞こえていただろう。
だけどヴァネッサは落ち着いて自分が置かれていた状況を話すことができた。


「これが今までわたしが受けてきた扱いなの。エディットからギルベルト様の噂を聞かされてパニックになってあんな行動を取ってしまったけど今はギルベルト様がそんなことをする方じゃないってちゃんと理解しているわ。だから……」
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